宮台的コミュニケーション論
終わりなき日常を生きろ―オウム完全克服マニュアル (ちくま文庫)
- 作者: 宮台真司
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1998/03
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (84件) を見る
父なき世界(大きな物語なき世界?)つまり外的制約がなくなり「終わりなき日常」が登場した。終わりなき日常は内的制約を顕在化させる(つまりコミュニケーションによる失敗が全て自己責任化する)。この環境が未熟さの自意識を肥大化させ、その忘却装置としてオタク文化や宗教ブームが用意された(自己の全面包括ツールとしての宗教)。ハルマゲドン夢想はすなわち終わり日常の外部を夢想すること(モテない俺でも核戦争が起これば活躍できる!)、それがある種の臨界点に達したのがオウム事件であった。これに対し、全面包括を放棄したのがコギャルやらブルセラ女子高校生であり、宮台はここに処方箋を見出している。終わりなき日常を漠然とした意識のまま生きろ。サリンを巻くよりは百倍マシ。このような論理構成である。
ゼロ年代が宇野常寛のいう決断主義(勝者こそ正義)的な社会として成立してしまっているのであれば、「終わりなき日常」からの打開工作は未だに終わっていないのだろう。デスノートは一体誰が使えばいいのだろうか?