Selected Ambient Works が再発しました。

Selected Ambient Works 85-92

Selected Ambient Works 85-92

映画や音楽はたまた学問まで全てのジャンルを横断的に見てもエイフェックス・ツインAphex Twin)ほどずば抜けて尊敬している人物はいない。『Selected Ambient Works 85-92』は彼の代表作でありテクノというか近代音楽の圧倒的なマスターピースと言えるわけだが、93年の発売からビニール盤が主に流通しているのでなかなか手に入れる機会がなかったが、この度渋谷のディスクユニオンにCD版が入荷していた。何故この作品を人々が積極的に評価しようとするのかは明らかで、それは彼がエレクトロ・パラダイムの「中」で思う存分才能を発揮しているに他ならない。つまりこの作品はピカソが描いためちゃくちゃウマイ写生画とおんなじなわけです。彼はあえてそれを目にする人が彼が何を描いたのか正確に把握できるように描く。それでも、というかだからこそこのCDが売れたわけで。以後傾倒していく抽象画(キックなしのガチアンビエントとかドリルン・ベース)を正確に評価することは難しい。いいか悪いか問題は別として彼の作品を心待ちにしている輩は世界中にいるわけ。どこかでエイフェックス・ツイン新世紀エヴァンゲリオンを繋げて論じていた評を読んだことがある。どちらも高尚なテーマを扱っているようで、実はガジェットはチープだと。もうひとつ僕が付け足すとすれば、その共通項は幼児性と創造性だ。エイフェックス・ツインの音楽は見事に開き直った幼児性によるセカイの破壊と、そこに新しい世界を流し込む創造があるからこそ素晴らしいのです。